津上みゆきさんの個展「欠片、植物、人の場所」に行きました。
会場はギャラリーの「ANOMALY」。最寄駅は天王洲アイル駅。この辺りはギャラリーが多いので、アート好きが集うエリアという印象です。
スケッチ・ドローイング・銅版画など50点以上の作品が展示されていました。津上さんが描く絵が好きな者としては、見応えのある嬉しい展覧会内容。
大きな作品も実際に景色を目の前にしているような迫力があって好きですが、小さな作品にも魅力を感じるので、この壁を見た時は心が躍りました。小さな平面の中でこんなにも何かを表現できるなんてすごい。
連作もいくつかありました。津上さんの絵には、「これは何かな」「自分にはこう見えるな」と思いを巡らせながら鑑賞する楽しさがあると私は思います。
キャンバスに描かれていないものもとても魅力的。どこかあどけなさを感じます。
柿の絵を観て、祖父母が干し柿を作っていたことを思い出しました。「ああ懐かしい」と幼い頃の情景を思い浮かべて鑑賞。自然豊かな場所で育った私にとって、津上さんの風景画を鑑賞することは、故郷を思い浮かべることに繋がります。キャンバスが故郷を思い出すための窓になっている感覚。そういう意味では津上さんの絵を観ていない時が多いかもしれません。
個展最終日はトークイベントがあるということで、もう一度ギャラリーに伺いました。登壇者は津上みゆきさんと、上野の森美術館の学芸員である坂元暁美さん。
何を思って描いているかなど、津上さんの言葉で直接聞くことができ、私も色々と感じることがありました。津上さんの話を聞いて「自由に絵を観ていいんだ」と少し気持ちが軽くなりました。必ずしも作り手の思いを鑑賞者が汲み取る必要はないと言ってもらえたような気がします。純粋に、素直に、目の前にある何かに向かっていていいんだなと思えました。
今年は津上さんの作品を見る機会が多そうなのでとても楽しみです。
それでは良い一日をお過ごしくださいませ。
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